検索

    チロルの渓谷美と伝統が息づく地域

    アルプスの渓谷美と素朴な人々と出会えるチロル州。絵本の世界から抜け出してきたような愛らしい風景がどこまでも広がる理想郷です。

    牧歌的な山の景色で知られるチロル州の住人の大部分がインタール渓谷などの低地で生活しています。したがって州の文化の拠点は、インタール渓谷に数珠つながりに存在します。インスブルック、ハル、ラッテンベルク、クーフシュタインなどの魅力的な町が点在します。また、ツィラータール、シュトゥーバイタール、エッツタールなどの渓谷、サンクト・アントンやゼーフェルトはハイカーやスキーヤー、そして休養を求める人々の理想郷として有名です。また、東チロルはザルツブルク州をはさんで離れたところに位置する自然の宝庫です。

    アルペンスキーの発祥の地、チロルはスキーは冬のみならず、氷河スキー場でもダイナミックな夏スキーができます。アルプスの夏といえば、ハイキングと登山。3000m級の峰々を望むチロルでは、あらゆるタイプの山歩きが楽しめます。
    また、ロープウェーなどの索道が大変整備されているので、ファミリーなどにも、手軽に山頂のすばらしい眺望や、緩やかな山上のハイキングが楽しめます。

    スポーツのほかにも、文化イベントが多く、音楽会や展覧会、修道院やお城の見学、生活体験など、様々なプログラムが用意されています。

    インスブルックと近郊

    インスブルック

    イン川とシル川が合流する浅瀬地帯に集落が誕生し、市に昇格したのが1239年でした。15世紀にはチロル公フリードリッヒ4世がインスブルックを都に定め、皇帝マキシミリアン一世(1459~1519年)の時代には、インスブルックはハプスブルク家の主要な居所となりました。この町のシンボル「黄金の小屋根」は、マキシミリアン一世が広場の催しを見るために造ったテラスです。インスブルックに重要な役割を果たしたチロル公フェルディナント二世(1529~1595年)は愛妻フィリピーネ・ウェルザーのためにアンブラス城を建て、インスブルックを文化の中心にしました。アンブラス城では、武器や美術品の展示が見られるほか、「スペインの間」では夏には音楽祭が開かれます。

    街の山、ブンガーブルクへはザハ・ハディットの設計によるモダンなケーブルカーが走っています。中間駅にはアルプス動物園があります。フンガーブルクからインスブルックの眺望が楽しめますが、さらにハーフェレカーまでケーブルカーで上れば、さらに素晴らしいアルプスの眺望を楽しむことができます。

    インスブルックの近郊

    イーグルスはボブスレーやベルクイーゼルのスキーのジャンプ台など、冬のスポーツ施設があることで有名で、夏はハイキングに人気の場所です。インスブルックからバスではすぐですが、旅気分が楽しめる路面電車がお勧めです。街中からアンブラス城へ至り、そこから森を通り、ランスに行き、さらに南東の山の牧草地帯を超えてイーグルスに達する一時間のコースです。

    電車で行けるゼーフェルトは冬はノルディック競技が有名ですが、夏にゆっくり滞在したい瀟洒な町です。ホテルも高級なものから可愛いペンションやアパートメントホテルまでたくさんあり、休暇のスタイルに合わせて選ぶことができます。

    インスブルックからわずか東に10kmのハルは、かつて岩塩の製造と取引で栄えた小都市で、チロル公が銀貨を鋳造するために造った貨幣鋳造塔が今も町のシンボルです。さらに東にいくとワッテンスにスワロフスキー・クリスタルワールドがあります。チロルで最も訪問者数の多いミュージアム兼アミューズメントパークです。

    インスブルックから南のブレンナー峠に向かって行くと、谷底から192mの高さのヨーロッパで一番高い「ヨーロッパ橋」が架かっています。チロルの代表的な渓谷の一つ、シュトゥーバイタールのフルプメスまで、インスブルックから出ているノスタルジックなシュトゥーバイタール鉄道がお勧めです。渓谷の奥には、通年滑ることができる氷河スキー場があります。

    ウンターランド地方

    インスブルックより東側の地域一体は、ウンターランド地方と呼ばれています。北は、カーヴェンデル、ローファン山脈、東は皇帝山脈と言われる、ごつごつした雄大なカイザーゲビルゲやキッツビュール・アルプス、南はトゥクサーアルプス、ツィラータールアルプスがあります。

    この地域にはよく知られた町や、渓谷がたくさんあります。イェンバッハから山を上るアプト式のSLが走るアーヘン鉄道、美しいアーヘン湖の遊覧船はチロルを代表するアトラクションです。アーヘン湖畔のペルティサウには、昔から知られている優れた薬効を持つ鉱物油の特産物があり、湯治に利用されています。

    クラムザッハの野外博物館は、インタール渓谷のガラス工芸で有名なラッテンベルクと共に、観光客の人気を集めています。その近くのアルプバッハは、色とりどりの花を飾ったベランダを持つ、チロル伝統のシャレー式の木造建築群が美しく、ぜひ訪れたい村です。

    古くから休暇客や観光客が訪れる、チロルのリゾート、キッツビュールは1920年代からリフトが建設され、スキーで有名な町です。毎年一月にハーネンカムレースが開催されスキーファンを集めています。ウンターランド地方にはたくさんの雄大なスキー場がありますが、ヴィルダーサイザー/ブリクセンタール地域のサファリコースはオーストリアで最長のスキーコースの一つです。

    チロルの国境の小都市クフシュタインは、「チロルの真珠」と民謡にも歌われる美しい町です。クフシュタイン城には4307本のパイプを持つ世界最大の野外オルガンがあり、毎日正午に演奏されます。ドイツのバイエルンとの国境近くにあるエールでは、1613年以来、キリスト受難劇が行われています。またエールの近代的なホールではチロル音楽祭が開かれます。

     

     

    オーバーランド地方

    インスブルックの西側で、南はイタリアに抜けるレッシェンパス峠、西はアールベルク、北はドイツに抜けるフェルンパス峠で区切られています。これらの峠は、すでにローマ時代から利用されていました。ベネチアとドイツのアウグスブルクを結ぶ交通路を通り、ローマ人はレッシェンパス峠を通ってチロルに入り、インタール渓谷沿いにイムストに達し、北のナッセライト、フェルンパス峠を通りドイツ方面に行ったのです。

    古い伝統あるオーバーランド地方

    オーバーランド地方では、古い伝統が今日まで伝えられています。「ブロッホツィーエン」と呼ばれるフリースとフィスの謝肉祭の行事は、4年ごとに行われる豊穣と新春を祝う祭りです。また、謝肉祭の盛大な行事として、イムストの「シェラーラウフェン」、テルフスの「シュライヒャーラウフェン」、ナッセライトの「シェーメンラウフ」といった仮面行列はチロルの冬の風物詩です。女性的な仮面は春を象徴し、あごひげを付け、巨大な頭飾りを付けた仮面は冬を表します。また、冬の悪霊を表した仮面をつけて、冬を追い出すという意味もあります。

    オーバーランド地方は、とりわけウィンタースポーツが盛んです。エッツタールや、カウナータール、そしてピッツタールには氷河スキー場もあり、冬ばかりではなく、通年スキーが楽しめます。ピッツタール氷河スキーからは、標高3774mのチロルの最高峰「ヴィルトシュピッツェ」の素晴らしいパノラマビューが望めます。スキーのハイシーズンには、スキー場として有名なサンクト・アントン・アム・アールベルクや、パッツナウンタール渓谷のイシュグルガルテュア、インタール渓谷上流地帯にあるセアファウス、そしてエッツタールのセルデンなどは、夏以上に休暇を楽しむ多くの人々で賑わいます。

    渓谷美がオーバーランド地方の特色です。イムスト峡谷の北、ローゼンガルテン峡谷の岸壁は100メートルにも達します。チロル最大の滝は、エッツタールのウムハウゼン近くにあるシュトゥイーベンの滝で、大量の岩石がホルラッハ川をせき止め、岩棚を超えた水が150mの滝となって落ちるのです。

    エッツタールの話題として忘れてはならないのは、この地方の最も古い旅行者、エッツィでしょう。5000年前の人間の遺体が発見されたのは、シミラウン氷河のそばです。親しみを込めてエッツィと呼ばれるこの人間は、インスブルック大学の研究チームにより徹底的に検証されました。

    文化遺産としては、シュタムスのシトー派修道院が挙げられます。13世紀にチロル泊ゲルツによって一族の墓所として建てられました。ここにはジギスムント豊貨公、皇帝マキシミリアン一世の二番目の妃であるマリア・ビアンカ・スフォルツァなどが葬られています。

    アウサーフェルン地方

    チロルの北西部は、すでに13世紀に「フェルンの外側(アウサーフェルン)」と呼ばれていました。アウサーフェルンへは、インスブルックからフェルンパス峠(1209m)を越えるルートだけが、一年を通じて交通でき、ローマ時代から利用されてきました。

    ロイテ盆地、エアヴァルト盆地、タンハイマータール渓谷、そしてレッヒタール渓谷がこの地域に入ります。レッヒ川はフォアアールベルク州を水源として、ヴァルトあたりでチロル州に入り、北東に流れてロイテを通り、ドイツのフュッセンに流れています。ロイテは、インスブルックからドイツのミッテンヴァルトを経由して列車でも行けます。

    アウサーフェルンの自然は多彩です。自然そのままのレッヒタール渓谷は、草原地帯のアルゴイ・アルプスと岩山のレッヒタール・アルプスの谷間にあります。レッヒタール渓谷は昔は交通が不便で、世間から隔絶された集落もいくつかあり、現代の生活様式が伝わるのがゆっくりだったこともあり、地域の文化がしっかり根付いています。19世紀のバイエルンの旅行作家ルートヴィッヒ・シュトイプは、レhッヒタールから枝分かれするタンハイマータール渓谷を「ヨーロッパで最も美しい高地の渓谷」と記しています。

    ドイツ国境いそびえるツークシュピッツェ付近の地域は、夏冬とも絶好の旅行先です。エアヴァルトではハイカーたちは、かつて作曲家のリヒャルト・シュトラスや劇作家ホフマンスタールがこの地を歩いたように、自然を楽しみます。

    アウサーフェルン地方には数多くの湖があります。ロイテ近くのプラーンゼー湖、そのまた近くのハイターヴァンガーゼー湖では、夏は遊覧船が運行しています。

    東チロル

    チロルの一番南に位置する東チロルは、第一次世界大戦後に南チロルが分離されて以来、東チロルはチロル州の母体から離れた飛び地となっています。

    穏やかな気候で休暇に最適な地域

    中心地は、リエンツ。東チロルへは北側からは、キッツビュールから美しいフェルバータウエルンとイーゼルタール渓谷を通る車・バスのルートと、東側からケルンテン州方面から列車でリエンツに来ることができます。ウィーンからもリエンツへ直通列車(約5時間40分)があります。また、イタリアからも列車が通っています。

    ドロミテの町リエンツは、ドロミテアルプスと溶け合って独特の南国的な雰囲気を持っています。温暖な気候のため歩行者天国が設けられ、カフェテラスが並び、ゆっくりと腰をおろして街の風情を楽しむことができます。リエンツから少し離れたブルック城には、郷土博物館と美術館があり、この地方で最も有名な画家、アルビン・エッガー=リエンツ(1868~1926)の作品が展示されています。彼は壮大な山の風景や、農村の生活、チロルの歴史をモチーフにして作品を描きました。リエンツ・ドロミテは、ハイカーや登山家に人気であるだけではなく、6月のドロミテ周回自転車競技から、8月のハードな競技「ドロミテマン」レース、1月には有名なクロスカントリー競技の国際ドロミテレースが行われる地です。

    東チロルはザルツブルク州、ケルンテン州とともにオーストリアの最高峰グロースグロックナーを共有し、ホーエ・タウエルン国立公園を共有しています。国立公園の総面積1787㎢のうち、610㎢が東チロルに属しています。

    東チロルの地域には、リエンツ盆地、カルスなどグロースグロックナ-山麓、プスタータール渓谷、ヴィルゲンタール渓谷、デフレッゲンタール渓谷があります。

    東チロルで休暇を過ごす人々にとって、この地方の静けさと古い独特の伝統がなによりの贈り物です。カーニバルの前までに作られるプラムや梨、リンゴから作る強い蒸留酒のシュナップスをぜひ試してください。東チロルにいまだに伝えられている古いしきたり、矛やりとランプを持った夜警の巡回は、オーバーティリアッハで毎週火曜、木曜、土曜の真夜中に行われています。夜警の声が聞こえたら、村人は明かりを消してベッドに入るのです。